「農家ではたらく」を心地よく。農業を持続可能な未来へつなぎたい
父から受け継いだ”大地の力”を活かす農業
田中農場の2代目、田中里志(たなかさとし)です。自然豊かなまち、鳥取県八頭町(やずちょう)で農家を営んでいます。お米や酒米、白ねぎ、豆類、調味料などを生産・販売しています。
わたしは、父が始めた農場を受け継ぎました。父の代からこだわり続けてきたのは、”大地が持っている力”を活かす農業。農薬などに頼らない土づくり、作物づくりを25年以上続けています。
手のかかる取り組みではあるので苦労は絶えませんが、栄養たっぷりの大地で育ったお米は野菜は、旨味や甘みが強く作物の本来の美味しさを最大限に引き出します。
「本物の美味しさを味わってもらいたい」「環境にやさしく持続可能な農業を続けたい」そんな想いを持って取り組んでいます。
「美味しさ」を追求するために
わたしたちは「本物の美味しさ」「体にやさしい食材」を追求するため、さまざまな試行錯誤を重ねてきました。田中農場のお米や野菜の特徴として、甘み・つや・食感のよさがあります。
そのために重要なのが土づくりです。作物が病気などに負けず健全でたくましく育つ、本来の美味しさを引き出すためにこだわってきました。
鳥取和牛で有名な飼育農家さんから、栄養豊富な牛糞をいただいています。その他の材料である稲・籾殻は私たちが育てたものを使用し、海外産は利用していません。これらを定期的に混ぜ合わせ、1年以上かけて発酵させる独自の堆肥作りに取り組んでいます。
また「土を耕す」ことにも力を入れています。地表に近い土はだんだんと痩せてしまうからです。土壌を深くまで掘り起こし、上の層と下の層を入れ替えることによって土を休め、栄養を蓄えさせることが可能です。大型のトラクターや人員などが必要になるため、日本の多くの農家では行われていないのですが、美味しさを追求するために実践しています。
田中農場では、化学肥料は一切使わず、農薬も最小限に抑えています。時間も手間もかかりますが、作物が自力で元気に育っていけるように、作物の生育メカニズムを研究しながら、作物の成長を手助けをし、質のよい作物づくりを行ってきました。
課題悩み 広大な農地で効率よく作業するには?
田中農場では親子2代にわたって、「安心して食べられるお米や野菜を届けたい」「食の感動を味わってもらいたい」という想いを胸に続けてきました。おかげさまで「田中農場のお米や野菜は甘くておいしい」「毎日食べるのが楽しみ」といったありがたい声も届いています。
しかしその一方で、わたしたちが行っているのは人の手も時間もかかる農業、とも言えます。化学肥料や農薬を使ってしまえば、今よりも簡単に見栄えの良い作物が育つと思います。作物の病害や雑草の心配もありません。
ですがわたしたちは、「食べる人の体に良いもの」「お米や野菜本来の美味しさを味わってもらいたい」という想いがあります。これだけは変えることはできません。だからこそ、田中農場のこだわりを守りつつ、農業のやり方を変えていく必要があると感じています。
田中農場の農地はおよそ120ha、約東京ドーム25個分ほどの広さがあります。鳥取県内でも大きい規模の農場です。
じつはこの広大な農地のほとんどは、借りてきた土地です。鳥取では「跡継ぎがいない」「歳を取って農業を続けられなくなった」などの理由から、利用されずに放置されたままの土地が増え続けています。
田中農場では、農業に携われなくなった人たちから土地を借りているというわけです。わたしたちは鳥取の土地を活用するためにも、今後さらに農地の拡大をしたいと思っています。
今後、田中農場のお米や野菜をより多くのひとに知ってもらうために、「もっと生産量を増やしたい」と考えていますが、広大な農地を限られた人数で、どのように効率よく作業していくのかというのが、ひとつの課題になっています。
そこで課題解決をすべく、わたしたちはスマート農業に挑戦しています。2020年にクラウドファンディングで支援をしていただき、農業用ドローンを購入しました。このドローンを活用し、天然肥料の散布を行っています。
以前は人の手を使って長いゴムホームを引っ張りながら、広大な面積を回っていたので時間のかかる大変な重労働でしたが、現在は農業用ドローンが大活躍!社員の負担も軽減し、導入して本当に良かったと思っています。
地方では、農業ドローンなどのIoT技術はまだまだ普及しきっていないのが現状です。田中農場では従来の農業の形にとらわれず、最新の機械を取り入れながら効率よく作業を進める挑戦を続けていくつもりです。
農業で活用できそうなサービスなどがあれば、どんなことでも構いませんのでアドバイスいただけると嬉しいです。
持続可能な農業の姿を考える
農業は、人間が生きていく上で欠かせない食料を生産・供給する役割を担っています。どんな時代になったとしても、その役割がなくなることはありません。
しかし、体力仕事・天候に左右される・収穫量が不安定など過酷な面も多く、3K(キツイ・汚い・危険)などと言われることもあります。そのようなイメージからか、社会人で「農業を始めたい」という人はとても少ないのが現状です。
これからも農業を続けていくためには、IoT技術を活用した作業の効率化だけでなく、現場でともに働いてくれる人作り、商品を知ってもらうための販促活動、また近年の気候変動への対応など、本当にさまざまな課題があります。
これらの課題を乗り越えていくためには、自分たちの力だけではなかなか難しいのが現実です。多くの方に知ってもらう・協力をしてもらうことが必要になります。まずは農業に興味・関心を持っていただける、きっかけ作りをしたいと考え、高林商店街に参加をしました。
田中農場は今後も、安心して食べられる作物を作り続け、美味しい食材を消費者のみなさまに届けられるよう取り組み続けていきます。農業の未来を希望あるものであると思っていただけるように全力頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。
社名 | 有限会社田中農場 |
代表取締役 | 田中 里志 |
所在地 | 〒668-1241 鳥取県鳥取市河原町長瀬61-1 |
Googleマップ(田中農場)
商品一覧
商品1点アップ